珠響 ~たまゆら~
珠玉のアーティストが響きあう至高のひととき
英哲風雲の会(和太鼓)/三響會(囃子) ゲスト:市川亀治郎改め四代目市川猿之助

才気溢れるアーティストたちが魅せる、和×洋の響宴!
和洋のジャンルを超えた若いアーティストたちの競演で、毎回、話題を呼んでいる異色のコンサート「珠響~たまゆら~」。この夏、再び彼らが集結し、名古屋でも熱い響きを聴かせてくれます。メンバーを代表し、尺八奏者の藤原道山とギタリストの村治佳織が公演にかける思いを語ってくれました。
SPECIAL INTERVIEW 01 藤原道山 Dozan Fujiwara |
和と洋の間に生きる、自然体の音楽。 ![]() ── 今年の「珠響」は「念」がテーマですね。 念というのは、人の心、思いです。その思いをどういった方向性に持って行かれるかが今年の「珠響」のテーマだと思っています。今回はコンサートの後半で、能の『鉄輪』を題材として、歌舞伎俳優の市川亀治郎さんと共演します。鉄輪とはいわゆる五徳で、ここでは丑の刻参りをする女性が頭に蝋燭を立てる道具です。この能は、男性に対する思いが深くなりすぎた女性のお話。こういうテーマは日本の古典芸能に多いんです。それほどひとつの強い思いというのは、人を惹きつけるものなのでしょう。僕が演奏する尺八の世界には「一音成仏」という言葉があって、たった一音で世界観を表現しうる楽器です。演奏は「念ずる」感覚にも近いと思います。「鉄輪」は尺八の古典の作品でもよく使われる題材なので、前半のガラコンサートでも後半と関連の深いプログラムを組む予定です。 ── 最近ではバレエとのコラボレーションもなさっている藤原さんですが、今回は市川亀治郎さんの舞との共演が注目されています。 ダンスや舞とのコラボレーションは、自分たちの呼吸で空間を支配して行くような面白さがありますね。僕の演奏は踊りの伴奏という役割になるわけですが、こちらの音や息づかい、タイミングによってはダンスや舞も変化して行きます。そうしたやりとりに面白さを感じます。亀治郎さんの舞はとてもきれいなので、今からすごく期待しているんです。バレエは地面から離れようとする身体の動きが多いですが、日本の舞は地面から足を離さず、地面から湧き出るような足捌きが見られます。西洋の芸術は、完全に作り込んで人間の意志を見せるものですが、日本の芸能は自然体に見せる人工的なもの。一歩一歩、一音一音積み重ねて進んでいきます。今あるエネルギーが、次の動きや音を決定していきます。 ── 「珠響」は今年で4回目の公演となるわけですが、ピアノの稲本響さん、ギターの村治佳織さん、英哲風雲の会や三響會といったメンバーの皆さんとの結束はいかがですか? 和と洋それぞれの楽器で、まったく違う道を通ってきた人たちが集まっているので、お互いの分野を見聞きして発見できることも多く、連帯感も深まってきました。「次はこういうことをやりたいね」とお互いのアイディアが膨らんで行くことも。僕が一番年上なので「長老」と呼ばれていますが(笑)、僕の還暦まで続けたいねと話しているんです。みんなそれぞれに10代20代はがむしゃらに突き進んできた。30代は少し落ち着いて、振り返って次の展開を考える時期。僕自身も30代は様々な出会いに支えられてきました。「珠響」とメンバーとの出会いもすごく大きいですね。 ── 和と洋の音楽の出会いが「珠響」のもっとも大きな魅力ですが、藤原さんはこれまでにもピアノやチェロ、マリンバ、弦楽四重奏など、西洋楽器との共演を数多くなされていますね。
── 年間100本を超えるコンサートをこなされている藤原さんですが、その爽やかさと元気を保つ秘訣は? 基本的にムリはしません。尺八は呼吸が深くなるので、演奏することで身体のコンディションがよくなるようです。旅行などでしばらく楽器を吹かないでいるよりも、仕事をしていたほうが体調がいいんです。それから、身体が欲するものをよく食べるようにしています。 PROFILE |
SPECIAL INTERVIEW 02 村治佳織 Kaori Muraji |
一回一回の公演を大切に、「今」をいかに楽しめるか。 ![]() ── MEGにご登場いただくのは約1年ぶりです。まずは近況をお聞かせください。 昨年の11月にまた腕の調子が悪くなり、3ヵ月間ステージからは離れたんですが、予定していた2月19日の広島公演から復帰できました。それからは元のペースで活動しています。広島の公演は、チェロの向山佳絵子さん、ヴァイオリンの漆原敬子さんとの共演だったので、3人で和気あいあいとできて、とても良い復帰の第一弾だったなと思いますね。皆さん、長く活躍されている方だから、お姉さん的な感じなんですよね。心配はしてくださるんですけど、距離を持って見守ってくださっていて、そのまま自然でいてくださったので。その1週間後に名古屋でソロとしては復帰第一弾の公演がありました。これがいきなり大ホールでしたから(笑)、プレッシャーにならないように、事前にリハーサルをしました。自分で近くのホールを借りて、ひとりで順番に曲を弾いてみたりして「これで大丈夫」という自信をつけてから臨みましたね。 ── 大変なことを乗り越えられて、再び精力的に活動を続けていらっしゃいますが、音楽との向き合い方などに変化はありましたか? それほど大きな変化はありませんが、とにかく一回一回の公演を大事にしていきたいな、という気持ちは、より大きくなっています。それに「その土地で弾ける」ということも大事にしたいと思うようになりました。一度、名古屋公演の前に熱田神宮にお参りに行ったことがあるんですよ。パッと新幹線に乗って、「1ヵ月お世話になります」とご挨拶して帰ってきたんですよね。そういうことができるって、すごく幸せだなって思って。ご縁があってその場所で演奏ができるわけですから。演奏家として一回しかないその時間をとにかく濃いものにしたいと思います。だから、余裕があれば公演前にリラックスした状態でその土地に出かけて行って空気を感じておくと、当日もいい気持ちで入れますよね。そうやって、「演奏できる」ということの意味を自分で深めていきたいな、と思っています。土地があって人がいて、そこで時間が流れて…。音楽は目に見えないし、コンサートは2時間で終わってしまうけれども、お客様の記憶にしっかり残るように。だから、時間や経験など、目に見えないものをより大事にしようという思いが自分の中でも強くなってきました。 ── ’08年から他ジャンルのアーティストと始められた「珠響」が、今年も開催されます。今回のテーマは「念」ということですが。
── ギターというのは「念」=「今の心」を伝えやすい楽器なのでしょうか? 何より自分の皮膚がそのまま弦に伝わることで、思いがすぐ通じやすいんじゃないでしょうか。ピアノももちろん素晴らしいですが、弦に行くまでに鍵盤があって、鍵盤のペダルが弦を振るわせるわけです。ひとつそこでクッションがあるわけですね。でもギターは、自分で弦に触れて音を出せますから。でも、一度はじいてしまうと繋げることはできなくて、音としては減衰してしまうという…。気持ちで繋げていかなきゃいけない。でも、また消えていく儚さもある…。 ── 尺八の藤原道山さん、ピアノの稲本響さんをはじめ共演メンバーとのお付き合いも長くなりましたね。 30代になったら「いい音楽仲間を作っていきたいな」と以前から思っていたんですよね。それが実現していますね。ステージで全員が揃うというのは、今までの公演ではオープニングとエンディングのときしかなかったんですよ。今回は表現として、ひとつの作品として全員が集まるので、そのときに発するエネルギーはどんなものかな、と楽しみにしています。それで、亀治郎さんも男女を超越されて、男でありながら女を演じられるわけで、性別を越えたところで表現できるのがすごく楽しみです。私も弾いているときに「女らしく」とか「男らしく」とか思っていないんですよ。だけど、皆さんには弾きっぷりがいちばん男っぽいというか…「兄貴っぽい」とか言われます。なぜか「兄貴」って呼ばれてるんですよ(笑)。 PROFILE |
公演日 | 2012年8月29日(水) 【昼の部】開場14:30/開演15:00 【夜の部】開場18:30/開演19:00 |
チケットはこちら 本公演は終了しました |
会 場 | 愛知県芸術劇場大ホール ![]() |
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料 金 | S¥8,500 A¥6,500 B¥4,000 学生¥3,000 ※学生券は往復ハガキで申込みの上抽選。 |
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チケット 発売所 |
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備 考 | ※未就学児のご入場はご同伴の場合でもお断りいたします。 |