【「世阿弥誕生650年」 ― 今、世阿弥を観る ―】
名古屋能楽堂 3月定例公演
「花筺の能は花筐をいかにも執すべし」(『世子六十以後申楽談儀』より)
能〈花筐〉は、大迹部皇子への照日の前の一途な想い描いた物狂能で、〈斑女〉〈水無月祓〉とともに、世阿弥が六十を過ぎてから作った作品。曲名でもある「花筐」は、皇位継承者として上洛することとなった皇子が、文を添えて照日の前へ残した愛用の花籠である。その花筐は、皇子の形見でもあり、照日の前の皇子への恋慕という一曲の主題を象徴するものでもある。だからこそ、この能では花筐を「いかにも執すべし(深く心にかけよ)。」と世阿弥は言うのである。
開演前ショート解説/「『花筐』について」和久荘太郎
狂言「秀句傘(しゅうくがらかさ)」/シテ 野村又三郎
能「花筐(はながたみ)」/シテ 衣斐正宜
狂言「秀句傘(しゅうくがらかさ)」/シテ 野村又三郎
能「花筐(はながたみ)」/シテ 衣斐正宜
