今、欧米で話題の新進指揮者ロビン・ティチアーティ登場!
新鋭ティチアーティと情熱の人ピリスの共演
音楽ジャーナリスト 片桐卓也
南フランスの空港に夏、降り立つとかすかにラヴェンダーの匂いがするけれど、スコットランドではヒースの薫りが混じっているような気がする。天気が変りやすく、夏でも時には急に寒い風が吹いたりすることもある北国スコットランド。
そんな風土の中で育ったオーケストラは、 逆にとても暖かい音を持っている。スコットランドのオーケストラには特に地域性、風土性が強く感じられる気がするのは、私だけだろうか。
エジンバラに本拠を置くスコティッシュ・チェンバー・オーケストラは2009~10年のシーズンからロビン・ティチアーティを首席指揮者に迎えた。ティチアーティは1983年生まれだから、まだ30歳。しかしオーケストラのみならず、オペラでも活躍を続けている注目の若手指揮者だ。日本でもモーツァルトの『フィガロの結婚』(クラウス・グート演出)を指揮しているが、その時はまだ20代半ば。
溌剌としているだけでなく、音楽の呼吸がとても自然で、若手とは思えないほどの経験も感じさせてくれた。イギリスは時として、こうした大器を生み出すようだ。
さて、そのティチアーティとスコティッシュ・チェンバーが日本ツアーを行なう。
ピアニストのマリア・ジョアン・ピリスが同行するのも嬉しい。プログラムは後半にベートーヴェンの『運命』、協奏曲はシューマンが用意された。共演者を慎重に選ぶピリスが、このティチアーティとこのオーケストラと共演するということだけで、如何に彼らがヨーロッパで音楽的に評価されているのかが分かる。情熱と清々しさに加え、暖かみのあるオーケストラの音色が、新しい体験に皆さんを誘うだろう。
2014/2/15(土)14:00開演
愛知県芸術劇場コンサートホール