This is Pianist! この秋冬は魅力的なピアニストの公演が目白押し!今回は、クラシックで培った才能をジャズピアノで昇華する山中千尋、独自の視点でクラシックを紐解く清塚信也のお二人にお話を伺いました。

山中千尋 Chihiro Yamanaka SPECIAL INTERVIEW

ー8月にリリースされる「モルト・カンタービレ」は、クラシックの名曲をジャズアレンジで聴けるアルバムです。こうした作品を作ろうと思ったのは?
クラシックは自身のルーツなので、私っぽいアプローチでジャズにしてみたいなと思って。昨年、アメリカ西海岸とヨーロッパのツアーでいろいろ試したんです。「このアレンジが面白いんじゃないかなとか、「え?これクラシックなの?」とか…。あとはやっぱり、お客様が凄く喜んでくださったので。でも、そのまま曲をなぞるというのではなくて、もっと華やかで情熱的な感じに仕立てたいなと。

ー聴かせていただいて、オリジナルの楽曲の良さを再認識できるように感じました。
例えばモーツァルトでは「トルコ行進曲」を取り上げていますが、非常にキャッチーだと思われたんじゃないでしょうか。愛される曲…人の心をつかむということは、時間が経っても何も変わらない。そんな曲をジャズでやることで、さらに楽しく面白くなるんです。クラシックピアノを弾いていた子どもの頃、「こうだったらいいな」と自分で想像していろいろな曲をアレンジしていたんですよ。もっと遠くに行きたいというか、自分の進みたい方向に曲を持って行きたいんです。今回のアルバムも、ちょっとそんな感じですね。

ーどんなところに気をつけてアレンジなさいましたか?
コントラストとか意外性、そして楽しさですね。リストの「愛の夢第3番」なども、ロマンティックなんだけれどアフリカンのシックスエイトでやったり、少し意外性を出してみた部分はあります。またこれをライヴでやると全然違うので、それは聴いていただきたいですね。今回はホールツアーですから、クラシック音楽にふさわしい厳かな雰囲気の空間の中で、ライヴハウスのような距離の近さを出していけたらいいと思っています。私自身、ジャズをしなかったらクラシックの良さがわからなかったと思うんです。両方知っている、と言うと凄くおこがましいですけど、クラシックもジャズも両方見られる場所にいられることが凄く楽しい。これからそういう若い方たちがたくさん出てくると思うので、もっともっと面白いものを作ってもらいたいと思っています。

山中千尋画像 クラシックの名曲を華やかで情熱的なジャズに。ピアニスト山中千尋の真骨頂。
9/16(月・祝)PM4:00「山中千尋 ニューヨーク・トリオ」

◎プログラム/最新アルバム「モルト・カンタービレ」より ほか
■会場/三井住友海上しらかわホール
■料金/S¥6,000 A¥4,000

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清塚信也画像 名曲だからこそ新鮮な驚きが!楽しく味わうトーク&クラシック。
11/13(水)PM6:45「清塚信也 K'z PIANO SHOW 2013」

■会場/愛知県芸術劇場コンサートホール
■料金/全席指定¥4,800

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清塚信也 Shinya Kiyozuka SPECIAL INTERVIEW

ーさまざまなスタイルのコンサートを行っていますけれど、『K’z PIANO SHOW2013』はトークが大きなポイントになるようですね。
クラシックのピアニストとして活動をしてきた中で、お客様がどういった音楽を聴きたいのかということを常に考えてきました。特にショパンやベートーヴェンなど、クラシックの名曲は喜んでいただけるのですけれど、曲にまつわるエピソードや作曲家の人物像などをお話しすると、聴き慣れていた名曲の印象が大きく変わってしまうのです。たとえばショパンの前奏曲「雨だれ」はどうして中ほどになると暗い音楽になるのか、とおたずねいただいたことがあるのですけれど、作曲時のちょっと悲惨な生活ぶりがわかれば納得できますし、音楽の聞こえ方が違ってきますよね。クラシックは長い時間を経てきた中で美化されている部分もあり、「実はね…」という話をすると「ええっ!」と驚いていただけることが多いのです。『K’zPIANOSHOW2013』では演奏とトークの割合を同じくらいにして、新しい名曲の魅力に出会っていただけるコンサートにしたいと思います。

ー映画『さよならドビュッシー』に出演されるなど、多彩な活動をされていますが、そうした経験も演奏に生かされますか?
クラシックのコンサートも演劇や映画でも、表現という名のステージ上では同じですし、むしろそうした場にこそ新しいヒントがありますね。コンサートでも演奏だけではなく、トークや照明の演出などによって新鮮な印象を与えられますし、いろいろなアイデアが生まれるようになります。トークのスキルを磨くこともできますから、今回のコンサートもより楽しんでいただけると確信しています。もちろん、あくまでも名曲を楽しむためのトークですので、演奏はしっかりと聴かせますよ。

ー清塚さんが感じるピアノという楽器の魅力とは、どういったものでしょうか。
「ピアノという楽器がそこにないこと」だと思います。ベートーヴェンがオーケストラを想定してピアノ曲を書いたり、ドビュッシーが絵画を思い浮かべながらピアノ曲を書いたりしたように、いろいろな音色や世界を作り出せるのがピアノの魅力なのです。理想の音色を求めるためにはホールの音響(残響)も味方に付けないといけませんが、愛知県芸術劇場は申し分のないホールですから、きっと御満足いただけると思います。知っている名曲だからこそ意外で面白い話をお聞かせできると思いますので、ぜひたくさんの方に楽しんでいただきたいですね。


This is Piano! そもそもピアノとは、どんな楽器なのでしょう?身近なようで意外と知らないピアノそのものの基礎知識。ちょっと知っておくと、コンサート前にさらりとうんちくを披露できるかも?!


ピアノの歴史 History of Piano
画像左:◎クラヴィコード 画像右:◎ハープシコード
♪ピアノの前身 楽器のそばにいる人にしか音が聴こえなかった?

18世紀前半までは、ピアノの前身楽器「クラヴィコード」と「ハープシコード」が鍵盤楽器の主流でした。13世紀頃から出現したといわれるクラヴィコードは、音量が極めて小さく、楽器のそばにいる人にしか聴こえなかったほどだと言われます。しかし、その繊細な音色が多くの作曲家や愛好家を魅了しました。14世紀頃にはハープシコード(チェンバロとも呼ばれる)が出現。音は鋭く華麗で音量も豊かになりましたが、音の強弱の変化には乏しかったと言われています。

♪最初のピアノ 爪弾くスタイルからハンマー仕掛けへ、画期的な発明。

そんなピアノの前身楽器の構造をガラリと変え、現在のピアノの原型を作ったのがイタリアの楽器製作家バルトロメオ・クリストフォリです。それまで鍵盤楽器の主流だったチェンバロが爪で弦をはじいて音を鳴らすものだったのに対し、1709年にハンマー仕掛けで弦を打つ構造を発明。“クラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ”(弱音も強音も出せるチェンバロ)と名付けたのが、今日のピアノに相当する最初の楽器だと言われています。

♪ピアノの進化 モーツァルトやベートーヴェンお気に入りのピアノは?

クリストフォリの仕事はドイツのオルガン製作家ジルバーマンに受け継がれました。彼が改良を重ねて作った新しいピアノは時のフリードリッヒ大王に献呈され、1747年にJ.S.バッハが御前で演奏したと言われています。そのピアノにさらに新たな改良を加えたのが、ヨハン・アンドレス・シュタイン。彼のピアノは軽快なタッチと音が特長で、その明るい音色を愛したモーツァルトは多くのピアノ曲を書きました。またイギリスでもヨハネ・ツンペがクラヴィコードにハンマーアクションを装置したピアノを製作。さらに、ジョン・ブロードウッドが改良を加えてより力強い音を生み出すことに成功しました。晩年のベートーヴェンは、ブロードウッド製のピアノで数々の傑作を書いたと言われています。

♪現在のピアノへ 明治時代には国産第1号のピアノが誕生。

ピアノ奏法の発達、また多彩な奏法が作曲に取り入れられるようになり、ピアノにもより繊細なタッチや豊かな音色が求められるようになっていきます。19世紀前半になると各国でピアノの製造方法に改良や発明が行われ、ショパン、リストの時代には、現代の標準的なピアノに限りなく近い82鍵にまで音域が増えたと言われています。19世紀半ばには、ピアノのメカニズムと工法は完成の域に達します。その後、質の向上に向けて各メーカーが試行錯誤を重ね、張りのある豊かな音色のある現在のピアノの形が出来上がりました。そんな中、日本では1900年(明治33年)に国産第1号のピアノが誕生しています。


ピアノの基礎知識 Basic knowledge
グランドピアノとアップライトピアノ

本来のピアノの形がグランドピアノ。地面と水平にフレームと弦を配し、弦は奏者の正面方向に張られているため大型になる。限られた設置面積で演奏ができるよう、弦を地面と垂直に張ってコンパクトにしたのがアップライトピアノ。

ピアノの構造

鍵盤、アクションと呼ばれるハンマーとダンパー、弦、響板、ブリッジ、フレーム、ケース、蓋、ペダルなどからなる。鍵盤を押すと、その奥にあるハンマーが下から弦を打つ。弦の振動が駒を介して響板に伝わり、響板が空気を振動させることで大きな音が鳴る。

鍵盤の数

標準的なモダンピアノには、黒鍵36、白鍵52、合わせて88鍵が装備されている。また弦の総数は200本を超える。

ピアノの重さ

アップライトピアノは200kg〜300kg、グランドピアノは300kg以上、コンサート・グランドピアノでは500kgを超えることも珍しくない。

調 律

専門の調律師によるピアノ全体のコンディションづくり。チューニングハンマーを使って弦の張力を加減し音程を正しく合わせる「調律」、心地よいタッチのためにアクション(指の動きをハンマーの運動に変える部分)の状態や鍵盤、ペダルの動きを調整する「整調」、音色・音量をバランス良く整える「整音」の3つの行程がある。


名門ブランドのピアノを比較!!ベートーヴェンはイギリス・ブロードウッド製、ヨハン・シュトラウスはウィーンの名門ベーゼンドルファーなど、名門と呼ばれるメーカーのピアノにはどんな特長があるのでしょうか?
◆スタインウェイ&サンズ Steinway & Sons 世界で最も有名なピアノメーカーで、高級ピアノの市場では圧倒的なシェアを誇り、有名な音楽ホールには、必ずと言っていいほどスタインウェイがあります。特長は音のダイナミックさと打楽器的な音の強さです。
◎愛用者/V.アシュケナージ、S.ブーニン、牛田智大、山中千尋
◆ベーゼンドルファー Besendorfer オーストリアの名門ピアノメーカー。その柔らかな音は「ウィーンの宝」とも言われます。創業から180年で生産台数が5万台程度と少なく、幻の名器とも言われました。しっとりとした音色を持ったピアノで、弱打の際の繊細な表現も得意としています。
◎愛用者/山中千尋
◆べヒシュタイン Bechstein ドイツのピアノメーカーです。「ピアノのストラディバリウス」とも呼ばれ、リストやトビュッシーが絶賛したピアノとしても有名です。究極の音の透明感と立ち上がりのシャープさを持っています。
◆ファツィオリ FAZIOLI 1978年にイタリアで創設。手作業にこだわった逸品を生産。胴部が他のメーカーに比べて長いため、ダイナミックできらびやかな音を奏でます。前回の名古屋公演でブーニンは、ファツィオリを持ち込みました。
◆ヤマハ YAMAHA 日本を代表するピアノメーカーで国内でも圧倒的なシェアを誇ります。ピアノの量産とピアノの値段を大幅に下げることにも成功しました。音色のまろやかさと明るい音の響きが特長です。
◎愛用者/清塚信也
◆カワイ KAWAI カワイピアノの音色はソフトでまろやか。また、低音部の太いズシンとした響きが特徴。外装部が透明アクリル樹脂製のクリスタル・ピアノはYOSHIKIが愛用している。
“ピアノ”を堪能できるおススメ公演!!
牛田智大 ピアノ・リサイタル 公演詳細情報はコチラから
“スタニスラフ・ブーニン ピアノ・リサイタル 公演詳細情報はコチラから

“ロビン・ティチアーティ指揮 スコティッシュ・チェンバー・オーケストラ ピアノ:マリア・ジョアン・ピリス 公演詳細情報はコチラから
“ウラディーミル&ヴォフカ・アシュケナージ ピアノ・デュオリサイタル 公演詳細情報はコチラから