芸術の秋、そしてクリスマスにニューイヤー。世界各地の町並みが、幻想的で華やかなムードに包まれるシーズンがやって来ます。さらに、季節感を盛り上げる音楽イベントも目白押し。
名古屋にもこの季節、一流の芸術が集結します。今年の秋〜冬は、ちょっと芸術的でロマンチックな過ごし方をしてみませんか。
ヨーロッパの人たちの間では、クラシック音楽を気軽に日常的に楽しむライフスタイルが定着しているようです。コンサートに出かけることは、音楽を聴くだけでなく、お洒落や食事、社交などを楽しむカルチャーイベント。皆、思い思いにクラシック・コンサートを楽しんでいます。
◎コンサート前に楽しむ
プレシアター・ディナー”
コンサートは、気のおけない仲間、愛するパートナーとの会話や食事とともに楽しむもの。夜の長い欧米では、コンサートや観劇の前に済ませる早いディナーや軽い食事「プレシアター・ディナー」が定番。劇場周辺のレストランやブラッスリーでは開演時間に合わせて食事やサーブの時間調整をしてくれるので、劇場に入る前のひと時をレストランでゆったり過ごし、ほろ酔い気分でコンサートを楽しむことができます。
◎町をあげて地元のオーケストラを応援
ヨーロッパでは、まるで野球チームを応援するように、市民が地元のオーケストラを愛し、贔屓にする習慣があるようです。10月に公演があるローマ・サンタ・チェチーリア管弦楽団もそのひとつ。音楽監督でもあるアントニオ・パッパーノは、エネルギッシュな情熱で楽団のレベルを高め、そして地元の人々からも強い支持を得ています。それは「パッパーノが来てからサンタ・チェチーリア管は特別な存在になった」と市民に言わしめるほどのものです。
イルミネーションやさまざまなイベント、コンサート。クリスマスは、一年中
で街が最も華やかに賑わい、活気に満ちるシーズンかもしれません。世界の
人々は、どのようにクリスマスを楽しんでいるのでしょうか。
◎各地で賑わうクリスマス・マーケット
11月下旬頃から、世界各地で始まるクリスマス・マーケット。街の広場がロマンチックに飾り付けされ、おもちゃや焼き菓子などの屋台が並びます。音楽の街ウィーンでは、市庁舎広場や世界遺産シェーンブルン宮殿前にクリスマス・マーケットが広がり、多くの人で賑わいます。ロマンチックな街を歩きながら、クリスマスコンサートやオペラが上演される劇場に出かける人も多いようです。
◎新年を迎えた後にメリー・クリスマス!
世界有数のオーケストラ、サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団を有し、バレエやオペラのメッカでもあるロシア。そのクリスマスは、ロシア正教の暦により1月7日に祝われます。
12月に入ると「ヨールカ」と呼ばれるクリスマスツ
リーが街のあちこちに設置され、新年とクリスマスを祝う華やかな雰囲気に包まれます。新年やクリスマスは家族で迎えるのが通例。イクラやキャビア、大皿の肉料理にシャンパンなどで豪華に楽しむようです。
◎オーストラリアのクリスマスシーズンは真夏!
真夏のオーストラリアでもクリスマスは一年で1番のイベント。ツリーは12月から1月10日頃まで飾ります。海辺ではトナカイの代わりに水上スキーに乗ったサンタクロースに出会ったりします。シドニーのオペラハウスの裏、ドメインと呼ばれる王立植物園の隣の緑地で開かれる「キャロルズ・イン・ザ・ドメイン」はオーストラリアで最大級のクリスマス・コンサート。毎年その年を代表するような歌手やタレントが総出演し、家族連れなど多くの人々が訪れます。
◎美しい旋律に心癒される、
アヴェ・マリアで過ごすクリスマス。
クリスマスシーズンになると聴きたくなるのが、アヴェ・マリア。室内楽の演奏や透き通るソプラノの歌声で綴られる美しいメロディーに耳を澄ませ、心静かなクリスマスの夜を過ごすのもいいものです。ルネサンス、バロック、古典派、ロマン派に至るまで、多くの作曲家たちがそれぞれの「アヴェ・マリア」を残していますが、中でも有名なのが、バッハ/グノー、シューベルト、カッチーニの「三大アヴェ・マリア」。この3曲をラインアップした演奏会が名古屋でもお楽しみいただけます。
◎カトリックの祈祷文をベースにした美しく厳かな歌詞。
そもそも「アヴェ・マリア」とは、聖母マリアをたたえる賛歌。そのベースは、カトリック教会の祈祷文です。例えば、有名なバッハ/グノーの「アヴェ・マリア」は、J.S.バッハの伴奏に、グノーが主旋律を付けた歌曲で、歌詞はカトリック教会の祈祷文「アヴェ・マリア」。「アヴェ」とはラテン語で「めでたし」の意味で、聖母マリアを祝福する曲が、万人に愛され続けてきました。
◎黒人たちの魂の叫びから生まれた
ゴスペル・ミュージック。
ニューヨークのハーレムでは、クリスマスから新年にかけて、教会のミサがゴスペルで盛り上がります。「ゴスペル」とは「GodSpell」(福音)の略で、「良い知らせ」「グッドニュース」を意味します。17世紀、奴隷船でアメリカに連行されたアフリカ人たちが口ずさんだ「スピリチュアルズ=黒人霊歌」が、そのルーツだと言われています。そしてスピリチュアルズは全米に広まり、ステージパフォーマンスへと進化を遂げたのです。1930年代になると、当時ブルース界のトップミュージシャン、トーマス・A・ドーシーが教会音楽界に転身。彼の書く曲はブルーステイストに溢れ、「ゴスペル」と呼ばれるようになりました。さまざまな音楽と互いに影響し合いながら形成されていった「ゴスペル・ミュージック」は、ブルースやジャズ、ソウル、R&B、カントリー、ロックの源流ともいえます。
◎荘厳でソウルフルなゴスペルに酔う
最近は、本場のゴスペルを生で楽しめる機会が日本でも増えてきました。クリスマスシーズンには、本場ニューヨークのゴスペル・グループや大物アーティストの来日コンサートが多数開催され、クリスマス気分を盛り上げます。また、市民参加のゴスペル・グループによる自主コンサートやストリートライブなども各地で開かれ、ソウルフルな歌声を街角で気軽に楽しむこともできます。
ヨーロッパの人たちの間では、クラシック音楽を気軽に日常的に楽しむライフスタイルが定着しているようです。コンサートに出かけることは、音楽を聴くだけでなく、お洒落や食事、社交などを楽しむカルチャーイベント。皆、思い思いにクラシック・コンサートを楽しんでいます。
◎世界で最も有名な演奏会
“ニューイヤーコンサート”
ニューイヤーコンサートといえば、ウィーンが世界的に有名。最初に開かれたのは1939年12月31日でした。今や世界中で知られるニューイヤーコンサートは、大晦日に始まったのです。事実上の最初のニューイヤーコンサートは、1941年1月1日。クレメンス・クラウスの指揮で行われ、当時は「ヨハン・シュトラウス・コンサート」または「フィルハーモニー・アカデミー」と呼ばれていました。
◎ヨハン・シュトラウス=ニューイヤーの理由
ニューイヤーコンサートでよく演奏されるのは、主にシュトラウス一家のワルツやポルカなどです。1873年4月ムジークフェライン大ホールで開催されたワルツ〈ウィーン気質〉の演奏が高く評価され、それから半世紀を経てニューイヤーコンサートが初演された当時は、ナチスドイツに併合されオーストリアの国名が世界から消えていた暗黒の時期でした。
国家が誇るシュトラウス一家の作品だけを演奏するコンサートは、祖国オーストリアへの強い思いの表れだったのかもしれません。
- NEW YEAR 2012
ウィンナー・ワルツ・オーケストラ
〜宮殿祝賀コンサート〜 -
- 公演日:2012年1月7日(土)開場/12:15 開演/13:00
会 場:愛知県芸術劇場コンサートホール
料 金:S¥6,500 A¥5,000 B¥4,000 学生¥3,000
- ※学生券は往復ハガキで申込みの上抽選。
※未就学児のご入場はご同伴の場合でもお断りいたします。 - ●公演の詳細情報はこちら→
- 公演日:2012年1月7日(土)開場/12:15 開演/13:00