よくあるご質問 プライバシーポリシー サイトマップ
チケット購入方法 イベントスケジュール クラシックフェスティバル メールマガジン スペシャルプログラム LOM会員について 会場案内


これはエルヴェ・ニケが足かけ5年の準備期間を費やし、満を持して世に問うヘンデルの新録音である。 金管楽器の奏法を歴史的に再現し、それゆえ生じる「非平均律的」な音程感覚をオーケストラ全体が共有して演奏にあたろうという試みだ。
金管楽器の自然倍音列は、「平均律」に慣れた耳には調子外れに聞こえる音を含む。ドミソの和音を吹き鳴らすぶんにはよいが、旋律的な動きでこれらの音が出てくるときが問題だ。

ヘンデルの当時はどうやって解決していたのか? 唇や息の使い方である程度は音程を操作していたかもしれないが、大幅に修正できたとは考えにくい。
ベルに差し込んだ右手の操作で音程を変えるホルンのハンドストップの技法が広まったのは、18世紀も後半に入ってからだ。イギリスを代表するトランペット奏者マイケル・レアードは「バロック時代の奏者は音程を修正していなかっただろう。当時は音楽家と聴衆の間でコンセンサスがあったと思う。
問題は現代人にとってそれが奇妙に響くこと。指揮者や同僚たちから要求があれば修正して対応せざるを得ない。」と語っている。彼が使うタイプの楽器は、「よい音程」に収束させるために考案された4つの指孔を有していた。

似たような事情はホルンにも当てはまり、ハンドストップを使わずにバロック音楽を吹こうする奏者は、いきおい指孔を開けた楽器に頼ってきたのが現状である。こうした「妥協」を排して、ニケとコンセール・スピリチュエルの面々は往時の響きを具現化しようと試みる。聴きなじんだ曲が面目を一新した箇所は、枚挙にいとまがない。《水上の音楽》組曲第1番のアレグロではホルンが痛快な立ち回りを演じ、続くアンダンテでオーボエの集団が弦楽器を従えて奏でる旋律線もいつもとは抑揚が違って感じられる。
管楽器の大所帯が先導役を果たす《王宮の花火》に至っては……。
大げさにいえば、これは現代人の(おそらくは演奏者にとっても自分自身の)耳に対する挑戦であり、問題提起だ。

木幡一誠/ブックレット解説より

■録音:2002年9月、メッツ・アーセナル(フランス)でのライヴ
■エグゼクティヴ・プロデューサー:カルロス・セスター/プロデューサー:ドミニク・ ダイクレモン&エルヴェ・ニケ
 エンジニア&編集:マニュエル・モヒノ/ 解説:エルヴェ・ニケ、ジャン・イヴ・パトゥ、木幡一誠、他/日本語訳:木幡一誠
■直輸入盤・日本語解説付き/定価 ¥3,000
 輸入・発売:株式会社 東京エムプラス


<< フランス・バロックオーケストラの公演ページに戻る



株式会社 中京テレビ事業:名古屋市中区錦3丁目15番15号 CTV錦ビル6階 TEL:(052)957-3333
Copyright(c)2000:CHUKYO TV ENTERPRISE CO.,LTD.All rights reserved.