アレクサンドラ・スム　インタビュー

・プログラムについて

今回のプログラムに取り入れた作品は、どれも私が長年取り組んできた曲ですが、これまでは個別に演奏することの多い作品でした。
リサイタルのプログラムを考えるときは、いつも多様性を意識しています。
今回は、ドイツ、ノルウェー、ロシア、ポーランド、フランスの作品がありますが、それぞれの作品が、情熱、若い精神、そして表現主義という共通の要素によって結びつけられ、一つのプログラムを構成しています。
また今回は、私の友人であり信頼するピアニスト、フランソワ・ランブレと共演できることも楽しみの一つです。
二人とも、日本でのリサイタルをとても楽しみにしています！

・小澤征爾氏について

小澤征爾氏と初めて出会ったのは、私がまだ16歳のとき、若い音楽家のために毎年スイスで夏に開催されるセミナー、「小澤征爾スイス国際音楽アカデミー」でのことでした。
彼は、今まで私が出会ったことのある音楽家の中でも、もっとも素晴らしく、インスピレーションに溢れる人物であると断言できます。
彼について語るとすれば、本を一冊書かなければなりません。
毎年スイスのアカデミーでは、マエストロは何時間でも、私たち生徒と向き合ってくれます。
散歩をしながら、音楽について、人生について、彼の子供時代について、何時間でも話してくれるのです。
彼は、謙虚さ、喜び、そして音楽家としての、また人間としての、飽くなき探求心を体現されている方だと思いますが、それと同時に、いつまでも子供心を忘れない方だと思います。
彼のエネルギー、そしてカリスマにまず人は圧倒され、またどんな点においても、彼の視点は特別で、独特のものだと感じます。

マエストロの体調が回復され、来年再びスイスのセミナーで私たちを指導してくださるのを、とても楽しみにしています！

・日本について

2008年から毎年日本を訪れています。京都を訪れ、古いお寺を巡ったのは素晴らしい体験でしたし、日本食も大好きです。
不思議なことに、私が来日するのはいつも夏なのですが、いつか日本の春と秋も体験してみたいと思っています。
日本の聴衆の皆様は、とても親切だといつも思っています。演奏者に寄り添い、温かい眼差しで迎えてくださり、終演後には一緒に写真を撮ったり、声をかけてくださいます。
また特に、昨年の震災以降、日本人の方々の思いやりと勇気には、心から感銘を受けてきました。

・リサイタルに向けて

今回、日本でリサイタルを演奏できることを大変嬉しく思っています。
ソリストとしての生活はときに孤独で、困難に一人で立ち向かわなければならないこともありますので、室内楽を演奏すること、また信頼できるピアニストと演奏できるということは、音楽家としてとても大切な機会だと思っています。
これからももっと、日本の新たな面を発見し、子供たちと出会い、話をし、色々な地方を訪れ、ときには教えることもしたい、と希望を膨らませていますが、今回の来日でも、そんな多くの出会いに期待しています。