チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット
東欧の伝統を今に伝える名門と巨匠の組み合わせ!
“ビロードの弦” “繊細な木管” “輝ける金管”
そしてそれらが融合した美しい響き―――世界中の音楽ファンから愛されてやまない“チェコ・フィル”。今回指揮台に立つのは、80歳を超える天下の巨匠ブロムシュテット!
1896年、ドヴォルザークの指揮で演奏活動をスタートし、クーベリック、ノイマンら素晴らしい指揮者のもと数々の名演を生んだこのオーケストラが贈る、珠玉の名曲。交響楽の真髄と、巨匠指揮者と名門オーケストラの織り成す円熟の極みを体験!
[プログラム]
・ドヴォルザーク/交響曲第9番「新世界より」
・ブラームス/交響曲第1番
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4月に、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団を指揮するために大好きな街プラハを再び訪れるという、またとない幸運に恵まれました。春だったので花は満開、どの公園も遊びまわる子供たちや幸せそうな恋人たちであふれていました。歴史が刻まれた古い街並には世界各地から大勢の観光客が訪れ、モルダウを船で渡る人をたくさん目にしました。
世界屈指のコンサートホール「ルドルフィヌム」は毎晩とも、ドヴォルザークとブラームスを演奏するチェコ・フィルを聴きに訪れる人々で満席です。このときの彼らの演奏は私がこれまで聴いた中でもっとも素晴らしかったと思います。チェコ・フィルは1930年代にヴァーツラフ・ターリヒの指揮で録音をしており、その貴重な音源がいくつか残っているのですが、今回の演奏を聴きながら、この録音を聴いていた日々を思い出し、懐かしい気持ちになりました。彼らの演奏はとても自然で心惹かれるのです。まるで演奏者全員が楽器を奏でるためにこの世に生まれてきたような、そして、共に歌い、演奏することで初めて本当の生命を与えられたような、そのような演奏をするのです。彼らが生み出す音色は、まさに心からつむぎだされ、心へと届くのです。
ヨーロッパやアメリカの多くの名高いオーケストラとチェコ・フィルの大きな違いは、メンバーのほとんどが同胞であり、等質性が保たれている点です。全団員を個人的に知っているわけではありませんが、122人のメンバーのリストを見せていただいたところ、なんとほとんど全員がチェコ出身だったのです。ドイツ人もロシア人も、アメリカ人も見当たらないのです。もちろん、チェコ以外の国や地域にも、素晴らしい演奏家はいます。しかし、ボヘミアの血を受け継ぐ人たちはこう考えるでしょう――「水を得るために橋を渡る必要などあるのか?」と。この言葉は間違いなく、彼らの秘密に通じています。しかし、彼らの独自性の本当の理由を知っているのは、彼ら自身だけでしょう。
日本で、11月にチェコ・フィルとの共演が再度実現することを心待ちにしております。
聴衆の皆様にお喜びいただけることを願って。
ヘルベルト・ブロムシュテット
2009年5月29日 ルツェルンにて